B級映画

最近話題になっている映画「カメラを止めるな!」を見てきた。少しでも話の内容を言うとネタバレになってしまうと聞いたので、予告編さえ見ずに前情報なしで鑑賞した。最初のうちは何これ?という感じで話が進んでいくのだが、途中から全てのモヤモヤを解消するように伏線が回収されていき…っと、内容についてはやっぱり何も言えない。しかし結論としては間違いなく面白かった。話が盛り上がってくるにつれ、客席の至る所で笑いが起こり、異様な一体感が生まれる。映画館でこんな体験はしたことがない。見終わった後も、一緒に見た人とああだこうだ言いたくなるような、ぜひ誰かと映画館で見て、体験を共有してほしい映画だった。

この映画の何が素晴らしいかというと、一番は話の脚本だ。ホラーコメディ?という枠にとらわれず、鮮やかに伏線を回収していくプロットは本当に良く出来ている。細部まで緻密に作られていて、1ミリの無駄もない。そしてもう一つ面白いのは、でてくる役者が全員無名で全く見たことがないということ。このことによって話の予測がさらに困難になり、不思議と映画の世界に入り込んでしまう。こういう観客を惹きつける要素が至るところに仕掛けられていて、なるほど面白いはずだなと思わせる。

今でこそSNSで話題が沸騰して全国で上映されているが、少ない製作費による新人監督の作品、しかもキャストは無名ということで、当初は東京の2館でしか上映されない予定だったらしい。映画のポスターを見ても、B級感が溢れていて、正直これだけでは見てみようとは思わない笑。しかしこのB級っぽさでさえ観客への罠で、全然安っぽい話じゃないやん!と見事に裏切られる。有名な俳優、スケールの大きさ、そういうたいそうなものではなく、優れた脚本と画面から伝わる場面の熱量こそが映画の面白さだ!とこの映画は言っているようだ。

そもそもB級映画といっても知らないだけで、おもしろいものはたくさんあるのかもしれない。だいたいA級、B級なんて誰かが決めたわけでもない。B級グルメと言われているものだって、ラーメン、ギョーザ、たこ焼きとか、文句なくうまいものばかり。おいしいもの(面白いもの)が高級であったり、高尚であったり、分かりにくいものである必要はない、ということに改めて気づかされた。

この夏休みに半日でも、いや数時間でも暇があれば、ぜひ映画館に行って、「カメラを止めるな!」を体験してほしい。1人で行っても観客全体との一体感が味わえます笑。

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