2018年の個人的ベスト

2018年が終わる。とりたてて大きな出来事はなかったけれど、いつまでもボーっと生きてるわけにもいかないので、今のうちにできることをやってみたり、自分の過去・未来について考え始めた1年だった。その一環?として何となく始めたブログは、1回書かなくなるとついついやらなくなってしまったけれど……でも、大晦日の今日は、1年の締めとして、超個人的に感銘を受けたもの、印象に残ったものを書き残さなければ年を越せない!という謎の使命感をもって、以下お送りします――

【漫画】
「からかい上手の高木さん」 山本崇一朗
そんなにたくさんの漫画を読んだわけではないけれど、その中でもほんとに良く出来てるなと思ったのがこれ。男子中学生の西片を同じクラスの高木さんがからかい続けるだけの漫画。からかいの中に高木さんの西片への恋心が見え隠れして、ほんわかします。こういう日常ものの作品が数多くある中、機微すぎる機微を丁寧に描いて、これだけ読ませるものはなかなかない。3月のライオンも然り。だんだん言動が大胆になっていく高木さんが個人的にほほえましい。笑

【ドラマ】
「anone」 脚本:坂本裕二
アノーンではなく、”あのね”です。(最初勘違いしてた。) 広瀬すず主演。世の中に居場所のない人々が、偽札作りに巻き込まれていく中で、自分にとって本当に大事なものを見つけていく物語。まずテレビで偽札とかやっていいの?っていう感じだけど、それくらい攻めた内容。全編を通して偽札や疑似家族といった「にせもの」がテーマで、本物ではないものにすがるしかない登場人物の姿が胸に迫る。犯罪を犯してまで守りたいもの、大事にしたいもの、それこそ本物なんだという主張に、はっとさせられる。
坂本裕二の独特の台詞は、「カルテット」では個人的にはストンとは来なかったけれど、本作では演出や演技の空気感となじんでいて、心に刺さる言葉ばかりだった。坂本裕二がプロフェッショナルで密着されていて、とつとつと語っている様子が印象的だった。

【映画】
「カメラを止めるな!」
ちゃんと見た映画はこの1本くらい。。まあ、ここ数年で1番おもしろいくらいだったのでいいか。見てない人には見て!としか。

【小説】
「痺れる」 沼田まほかる
今年は評論本、啓発本とかエッセイみたいなのとかを読むことが多かったので、小説はあまり読めていないが、その中でもかなり衝撃的だった本。「イヤミス」と呼ばれる、読後感が悪いミステリーのジャンルの代表作家である沼田まほかるの短編集。この作者の本は読んだことがなかったので、どんなものかと思ったら……犯罪衝動や異常性癖などおどろおどろしいものばかり出てきて、予想以上だった。でもただグロテスクだったり嫌悪感を感じるだけではなくて、その中に歪んだ愛情があったり、美しさがあったり、非道徳的なものに対するあこがれがあったりして惹きつけられる。それらは普段生活している中では、実は目に入らないようにしているもので、黙殺しているだけなんじゃないか、とも思う。
「ユリゴコロ」という沼田まほかるの長編小説もあり、これも十分おもしろかった。でも短編のほうが切れ味があって、短いからこそぎりぎり破綻せずに一気に終わりまで行く感じが個人的には好き。とはいえ刺激は強いので、精神状態が比較的安定しているときに読むことをお勧めします…笑。

【小説以外の本】
「わかりやすいパターン認識」 石井健一郎
今年に入って機械学習に興味を持つようになって、いろいろ読んでみた入門本の一つ。「わかりやすい」とは言っても完全な技術書で、自分でもまだ5割くらいしか理解できてない。。入門本でありながら、ものを認識するとはどういうことか、という機械学習の本質に迫るレベルまで解説がある。その先にはもっと有名で超難解と言われる本があるので、来年チャレンジしたい。


ざっと挙げてみたがこれくらいか。最近インドア志向にますます拍車がかかっているので、何かしら読んだり見たりすることが多い。その中で本当に面白いと思うものはあんまりないけれど、たまにこれは、と思うものが見つかるとそれだけでうれしい。

上に紹介したのは完全に個人的に気に入ったものなので、自分の性格を良く表しているなと思う。基本的には暗いもののほうが好き…笑。こう挙げてみると、「anone」とか「痺れる」とか、現実とはなかなか思えない話が印象に残っている。でも、そういう話でも妙に現実味があって、引き込まれる。虚構は現実の裏側で、まさに現実を裏書きするような存在、と誰かがコラムに書いていたのを思い出す。虚構があるからこそ現実があり、その上で人は生きていける。言葉や概念も現実のものかと言えばそうは言えないと思う。でも空虚な言葉と魂のこもった言葉があるように、現実と虚構は混在している。虚ろな現実と豊かな虚構、それはどっちがいいんだろう。2019年が始まるとすぐに「平成」も終わってしまうけれど、リアリティのある一年にしたい。まずは就職する、という現実味のないリアルに向き合わなければならないけれど…。

コメント